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Heartist-ココロ×創造-

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4年前の今日、父が倒れました。
原因はくも膜下出血でした。



4年前の10月14日というのは体育の日でした。
この日父は知人の家に招待されていて、早朝から一人出かける仕度をしていました。
父は三日ほど前から体調不良を訴えていて、その日も顔色が冴えなかったので、「大丈夫?」と声をかけたのですが、「血圧のせいだろう」と降圧剤を飲むだけで知り合いの家へと出かけて行きました。

知人の家は電車では不便な所にあるので、父は車を運転して向かいました。
今思えば運転している最中に脳出血が起こったら、他の人を巻き込みかねない事故になったでしょう。

父が意識を失ったのは知人と麻雀をしている最中でした。
牌を握ったままテーブルに突っ伏したそうです。

父が様子がおかしいのを見て、知人はすぐに119番に通報しました。
この時、すぐ近くに人がいたことが父が助かった一番の要因だったと言えます。
家に一人でいたりして、脳出血をしても誰にも気づかれないまま手遅れになった人もいると聞きます。
この知人の方には本当に感謝してもしきれません。

もう一つ運の良かったのは近くに脳外科専門の病院があったということです。
救急車もすぐさま到着して、病院に搬入されたのが倒れてから20分後のことでした。
記録的な早さです。

とりあえず脳内での出血は続いているので、出血が収まるまで寝台に寝かされる父。
脳内での出血が落ち着くまでに6時間かかりました。
その間に僕と母は病院に到着していて、待合室で座りこんでいました。
外はすっかり夜です。

外科医から手術の概要と危険性を説明され、承諾書(?)的なものに母がさらっとサインをしました。
僕は思ったより落ち着いてましたが、母はさらに落ち着いていました。

父の手術は3時間程度で終わりました。
端的に説明すると、頭を開いて頭蓋骨を外して出血部分をカーボンのクリップで止める手術でした。
手術直後の父の頭はきれいに刈られ、切られた部分はブヨブヨしてました。
その感触は何に例えられるものではなく独特なブヨブヨ具合でした。
それもそのはず。その時点では脳が一時的に肥大するからと、頭蓋骨を一部取り外していたのです。
僕が触ったのは頭皮一枚を挟んだ「脳そのもの」だったのです。
ちなみに取り外された頭蓋骨は冷凍庫に保管されてました。

術後2時間が経過して集中治療室に移された父を窓越しに見ていると、なんと父の目が開きました。
そして起き上がろうとしたのです。
頭には溜まった水を抜くチューブやらなんやらが繋がってるし、口には酸素マスクが装着されています。
無理に起き上がろうとするとそれらが全て脱着してしまう感じだったので、僕はダッシュで緊急治療室に飛び込み、父をベッドに抑え付けました。
大声で「看護婦さーん!」と呼ぶと数人の看護婦さん達が駆けつけてくれました。
普通なら術後はしばらく意識が戻らないはずなのに、父はしっかり目を開け起き上がろうとしたのです。
これには看護婦さんもびっくりしてました。

ただ、動きはしたものの、意識は無いようでした。
何にも考えてないような脳がすっぽり抜けたカラクリ人形のようでした。
人間、脳をいじるとこんな感じになるのかとびっくりしました。

とりあえず父がその肢体使って動いたことに強い安堵感を得ることができました。



高血圧・過度の喫煙・過度の飲酒・ストレスが要因で父は病に倒れました。
そして運と、体力と、治療環境に恵まれていたおかげで快方に向かいました。

人の運命とはいろんな要素が混ざり合って形成されていくのだなと強く感じました。
命は尊く、どんな人にも病や死は意外と側に潜んでいるものです。
だからこそ病気への用心は必要であり、健康への愛執も必要なのだと思います。
だって、身近な人が病気になるのは嫌だし、自分が周りの人にそんな思いをさせるのも嫌ですから。
by cledy_theater | 2006-10-14 10:57
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